心理学専攻の概要

指導教員について
◆概要は平成27年度の内容です。平成28年度に一部改訂される場合があります。
 

心理学専攻の概要

 
 21世紀をむかえ、現代社会は大きく変動するとともに益々、複雑・多様化してきている。そして、そこに生きる人間をとりまく社会と環境の変化は、その規模と速度を急激に増大させ、人類は、生態学的にも、社会学的にも、人間存在の上でも、かつて経験したことのないほどの変化に直面させられている。そして、その中で人間は、文明社会の豊かな恩恵をうけながら、その代償として、自然や人間性そして人間本来の心など、かけがえのないものまで失いつつあり、今までの概念や対応をも全く無力・無効なものとしてしまっている。その様な今、人間の心と現代社会の関わりや本質について、様々な科学から正確にしてトータルな知識を持つとともに、具体的な現実認識のもとで、人間性の深淵をあきらかにすることが重要であり、人間社会の将来をいかに設定すべきかの切実な課題にとりくむことが求められている。心理学は、その目的達成に向かい重要な役割を担っており、科学的方法論をもって、人間活動の全般について充実した研究・実践を続けている。その内容は、理論と応用、あるいは個人と社会、基礎と臨床というような対称的な諸軸による領域に分類され、それらは互いに密接な関連をもって構成され、そこでは、人間同士の直接の接触を基底にして研究データや必要情報が収集され、分析・考究されるとともに、一方では最新の様々な電子機器による厳密な測定や、高度の統計的数学的分析を駆使した結果の解析が行われている。また、情報科学という関連分野を結ぶ学際的研究活動の一環として、理工学に関連してコンピューターを媒介とする人工知能の構築とも関わり、他方では医学・生理学に関連して大脳の機構と精神作用との対応の解明にも関与してきており、それらを通じて、人間の心のブラックボックスの解明に寄与している。

 心理学専攻は、文学部心理学科を基礎とし、その教育・研究(教育課程及び教員構成)の特色をも配慮して、臨床心理学領域、心理行動科学領域の2領域から構成される。
 これは学科の延長としてさらに高度の知識の修得を目指し、また独創性の豊かな研究を期待するものであり、広く社会における心理学関係の指導的役割を果たすことの可能な人材の育成を目標としている。また臨床心理学領域では、臨床心理士としての資質をはぐくむとともに、臨床現場でも充分に機能しうる人材の育成を目標としている。

 「臨床心理学領域」においては、心の健康障害(適応障害や精神障害)や高齢者問題等の本質の探究及びそのために必要な測定・診断・治療・予後等の理論や技能の修得及びその実践を中心に、臨床心理士としての資質をはぐくむとともに、臨床心理士資格審査をクリアし、臨床現場でも臨床の専門家として充分に機能しうる資質を修得できるよう意図している。

 「心理行動科学領域」においては、心理学をより専門的に学び、将来、心理学の専門的職業に就いたり、博士課程に進学することを目指している。知覚、記憶などの認知心理学分野と対人認知、文化などの社会心理学分野を中心に、各分野を専門とする教員から研究指導を受けながら、人間の知的機能や対人機能のメカニズムを科学的に探求することを意図している。

 「臨床心理学領域」では、臨床家としての知識や技能の充実を図るため、「臨床心理学特論」をはじめとする必修科目5科目16単位を必修とするとともに、選択必修科目群AからEの5群それぞれから1科目以上10単位以上を修得させる。

 「心理行動科学領域」では、専門的知識の充実ならびに研究法の修得を図るため、専攻した領域で開設される選択必修科目の中から2科目8単位以上を必修とするとともに、これらに領域共通の科目群の中から選択された科目を加えた計24単位以上を修得させる。

 また、各領域とも1年次より自由にテーマを定めて充実した研究指導を行えるように配慮し、「特別研究」として6単位を定め、大学院学生の自主的・積極的な研究活動意識を高揚する。
なお、「臨床心理学領域」では、臨床心理士資格審査規定第8条第2号による第1種指定大学院としての臨床心理士の育成を図るため、「臨床心理学特論」、「臨床心理面接特論」、「臨床心理査定演習」、「臨床心理基礎実習」、「臨床心理実習」の必修科目と選択必修科目A~E群の各群に該当する「臨床心理学研究法」、「生理心理学特講」、「犯罪心理学特講」、「精神医学特講」、「精神薬理学」、「心身医学特論」、「心理療法各論Ⅰ・Ⅱ」等の科目を設けている。また、指定病院等と連携して「臨床心理基礎実習」、「臨床心理実習」を実施しうる体制を整えており、臨床現場での実体験を通じて、理論や技術の検証と修得が充分に可能となるように配慮している。なお、指定病院の病院長には非常勤講師として指導・スーパーバイズを依頼するとともに臨床心理士による特別講義も設定している。

 
 

心理学専攻修了後の進路等について

 
 心理学専攻の修了生は、学術研究の高度化と優秀な研究者の養成を目指す博士課程にさらに進学する者のほかに、現代そして将来に求められる専門的知識及び実践技能を基礎として、人間性を尊重し広い視野をもって時代の変化に対応しながら、様々な社会活動の場における指導者として活躍するものと期待される。特に、カウンセリングについては、心身の健康障害の増加を背景としてその需要が顕在化しており、各種医療施設・社会福祉施設・教育機関等の職域において、社会に貢献しうると考えられる。
 また、予想される主な修了後の進路としては、以下のようなものが挙げられる。


 
児童相談所、身体障害者更生相談所、精神薄弱者更生相談所、
婦人相談所等の福祉機関及び障害児(者)入所・通所施設等の専門職員
(臨床心理士・カウンセラー他)
 
病院、クリニック、精神保健センター等の医療施設の専門職員
(臨床心理士・カウンセラー他)
 
少年鑑別所、少年院、刑務所等の矯正保護機関および施設等の専門職員
(カウンセラー他)
 
家庭裁判所等の調査官
 
一般企業・事業所等に設置された保健センター、心理相談所等の専門職員
(産業カウンセラー他)
 
教育行政機関、教育研究機関、社会施設等の専門職員
 
その他各種社会福祉法人、財団法人、特殊法人等の専門職員
 
 
「臨床心理士」
資格の概要   文部科学省が認可した(財)日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格。
資格取得後も5年毎に活動や研究の成果の確認があり、基準を満たしていれば継続される。
取得の条件   臨床心理学領域修了後、資格認定協会の試験に合格すると資格が得られる。
 
「シニア産業カウンセラー」
資格の概要   (社)日本産業カウンセラー協会が認可する資格の一つである。
取得の条件   心理学又は心理学隣接諸科学を専攻し、心理学の授業科目より8単位以上修得し、修士の学位を得ると、受験申請資格が得られる。学科試験および実技試験合格者が資格を認定される。