辻浩和先生が第12回女性史学賞を受賞しました

辻浩和先生が第12回女性史学賞を受賞し、2017年12月16日に奈良女子大学で授賞式が行われました。

 

(賞の詳細については、こちらをご覧ください。→ 第12回女性史学賞について

 

受賞作『中世の〈遊女〉―生業と身分』(京都大学学術出版会、2017)には
一体どんなことが書いてあるのか、辻先生に解説してもらいました。

――今回受賞された女性史学賞について教えてください。
歴史学・文学・社会学・文化人類学・民俗学などの分野で、
女性史・ジェンダー研究の発展に寄与した若手研究者の著作に与えられる賞です。

――『中世の〈遊女〉―生業と身分』には、どんなことが書かれているのですか。
遊女というと、多分ほとんどの人は江戸時代の遊女を思い浮かべると思います。
男性の主人に雇われて売春をする、悲惨な女性のイメージです。
しかし、私が研究している中世の遊女はそれとはだいぶ違います。
まず彼女たちは、売春婦というよりは歌手に近い存在です。
それから誰かに雇われているわけではなく、自営業なので、
仕事をするかしないか、自分で決めることができます。
この本では、そういう中世の遊女たちの仕事が
どのように行われていたのかを明らかにしました。
また、中世から近世にかけて、
遊女の仕事やイメージがどのように変わっていくのかについても論じています。

――この本の見どころはどこですか。
中世の遊女たちは、したたかでたくましい女性たちです。
一家の大黒柱として夫や両親、従者を養い、子育てもこなします。
生活を守るために仲間たちと団結し、ビジネスチャンスには機敏に対応します。
社会を生き抜く人間の力強さを感じてもらえれば嬉しいです。

――先生の授業では遊女の話が聞けるのでしょうか。
来年の「日本女性史(2)」では“結婚と非婚・未婚”についてお話しする予定です。
古代から現代まで、広い時代を扱いますが、
その中で遊女の結婚についてもお話しできればいいなと思っています。

――「日本女性史(2)」については、こちらの授業紹介もご覧ください。

 
辻先生、ありがとうございました。