民俗調査実習を行いました

 8月7日~10日にかけて、糸の町として栄えた神奈川県愛甲郡愛川町半原で民俗調査実習を行いました。本実習は帝京大学と合同で行いました。本実習に向けては、チャット音声アプリやオンライン会議ツールを利用して、両校の参加者が合同で連絡を取り合い、打ち合わせを重ねてきました。また、現地での調整のため愛川町教育委員会、文化財保護委員の皆様にご協力いただき、半原小学校に会場を提供していただきました。

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 初日は愛川町郷土資料館の展示を見学しました。夏季企画展「人々の暮らしと道具」では民具や婚礼道具、撚糸機など聞取り調査に関連する展示もありました。その後、6グループに分かれて調査対象地区を巡見し、地区割や神社、石碑等を確認しました。

 

愛川町郷土資料館の展示見学
 
聞取り調査のヒントになるような物や場所の確認

 2・3日目は半原小学校の教室を会場とし、半原地域の方々にインタビュー形式で聞き取り調査を行いました。1テーブル2~3人程度の小グループに分かれ、半原地域に住む68歳~92歳の男女34人に対し、「生産と生業」(撚糸業や農業など)、「社会生活」(地区割り、内部区分、青年組織や女性組織など)、「年中行事」(お正月やお盆など)、「人生儀礼」(出産、育児、婚姻、葬送)、「口承文芸」(昔話、伝説)、「民間信仰」(神社や講など)などについて、話者が経験してきたことを中心にお話しを伺いました。

 
調査風景

 最終日はご協力いただいた方々へ、感謝の気持ちを込めてお手紙を書きました。今後はお聞きした内容をまとめて冊子を作成し、地域の方々に頒布する予定です。(伊藤純)

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【参加学生の感想】

  • 事前に資料で調べ、授業で習っていたことでも、実際に話を聞いてみると具体的な様子が分かり、生の声を聞くことの大切さを知った。
  • 神社や講のことを伺った。最初は分からないことが多かったが、回数を重ねるごとに話が結びつき、知識もついた。現代では馴染みのないものと思った風習も、調査をして、もっと身近な場所にもあるのではないかと感じた。
  • 撚糸業のことを伺った。事前の資料だけでは分からなかったことを実際に携わっていた方から話を聞いたり、レインボープラザで八丁式撚糸機を見学したりする中で、当時の状況をよく知ることができた。

【地域の方々の感想】

  • 半原のことを知ろうとする学生の熱意が伝わり、楽しかった
  • 話しているうちに昔のことを思い出し、懐かしくなった。地域で大切にしてきた様々なことを振り返る良い機会だった。
  • 地域の人たちが若い世代の学生と楽しそうに話していたのが印象的だった。中には予定していない回にも足を運んだ人もおり、地域のことを若者に伝えたいという思いが感じられた。今回の調査実習が、半原の歴史を振り返る良い機会となれば嬉しい。

【関連リンク】

愛川町スポーツ・文化課

宮ヶ瀬レイクサイドエフエム(Youtube)

神奈川新聞(大学生がたどる「糸の町」の歩み 愛川・半原で民俗調査)