8月26日のオープンキャンパスでは、発達心理学領域の『学科体験』が行われました。
今回の体験では、「投映法」と呼ばれる心理検査の一つ、バウムテストが下敷きになっています。
検査者は「実のなる木(木というだけもあります)を描いてください」と述べて、鉛筆と紙を渡します。
ごくシンプルな手続きなので、子どもにもよく使われています。
たとえば、児童相談所では、描写と面接から子どもの感情・性格・知性などを汲み取って、傷つきがあるようなら支えてゆきます。
元気ならのびのびした線が描けるし、緊張していると固い線になってしまうなど、
こころの調子が絵の中に「無意識のうちに・投映される」ことは、年齢を問いません。
ただし、人間はそれだけでなく、「意識して・表現する」力ももっています。
相手に届くように伝えるこの「表現力」は、大人と子どもでどこまで共通でしょうか。
保育園4歳5歳児に協力してもらって、大学院生と学部生で調査を行いました。
子どもたちには、「うれしいおじいさん、かなしいおじいさん」が登場する芝居を見せ、
おじいさんたちの持つ「うれしい木とかなしい木」を作ってほしいとお願いしました。
また幹・枝・葉・実は紙で作っておき、のり付けだけで簡単に済むようにしました。
今回の『体験』では、この子ども調査を同じ材料で、高校生の皆さんが作成しました。
できたものを机の上に置いて見比べてみますと、一人一人微妙に違いますが、
どちらの机が「うれしい木」でどちらが「かなしい木」を置いてあるのか、すぐわかると思います。
机の反対側には、4歳さん5歳さんが作った「2種類の木」ペアのコピーを置きました。
自分たちの作品を鑑賞した後は、子どもの作品で、どちらか「うれしい」「かなしい」か当てるチャレンジができます。
思った以上に当たらないもので、皆さん「迷探偵」になっていました。
子どもは「(描き分け)できないんだ~」という声、「自由で創造性があって、素敵!」という声もありました。
成長し発達しても変わらないところ、成長につれて獲得したり失ったりするところ、
人間の心の中にいろいろな部分があることが、体験を通して納得できたことでしょう。
子どもをコミュニケーションするときのヒントも得られたかもしれません。