生活創造学部のSDGsの取り組み:観光文化学科 

 生活創造学部ではSDGsの精神を柱とした、生活や文化に関するさまざまな活動を行っています。今回は観光文化学科のSDGsの取り組みについて紹介します。

 SDGsとは、「持続可能な開発目標」として17の目標を設定していますが、観光文化学科の事例として、目標4「質の高い教育をみんなに」、目標10「人や国の不平等をなくそう」に関わる授業を紹介いたします。

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/から引用

 観光文化学科では、理論と実践をバランスよく学べるような科目を多数用意しています。例えばおもてなしの心であるホスピタリティの理論を学ぶのは「ホスピタリティ入門」。実際にホスピタリティがホテルなどの現場でどのように運用され実践されているのかを研究するのは「観光文化実践」。このように「理論」は教室で学び、「実践」は学生が実際の現場に出かけて行って、自分の目で見て体験して理論の理解を深める工夫をしています。

 観光文化実践科目にはホテルなどの宿泊業、ブライダル、インターンシップなど多彩な内容の実践科目が開講されています。その中で今回紹介するのは「ユニバーサル・デザイン」に取り組む実践授業を紹介します。

 ユニバーサル・デザインとは、国や言葉、性別、年齢、障害の有無などにかかわりなく、多くの人にとって使いやすいデザインを意味します。ユニバーサル・デザインの代表的なものに「ピクトグラム」があります。ピクトグラムは文字を使用しないで絵でモノや意味を表します。文字を使わないので、例えば日本語の読めない人―例えば海外からのお客様や、まだ文字が読めないお子さんなどーにも、意味を伝えることが可能になります。図1を見てください。今では多くの施設に図1のようなピクトグラムがありますね。

図1 トイレのピクトグラム
 

 ピクトグラムは1964年の東京オリンピック・パラリンピックで盛んに使用されました。当時の日本人は(今も?)日本語以外の言語が得意ではありませんでした。言葉はうまく通じなくても、海外からのお客様を手厚くおもてなししたい。そのような状況に、ピクトグラムはピタリとはまりました。今でも使用されている図1のようなピクトグラムを1964年当時に考案・制作したのは、日本人デザイナー田中一光氏(1930-2002)をリーダーとするデザインチームでした。図1のようなトイレピクトグラムは、現在では日本だけではなく、多くの国でも使用されています。

図2 バスのピクトグラム
 

 図2もピクトグラムですが、バスとバス停のピクトグラムであることは一目でわかりますね。ピクトグラムは絵記号ですから、示された対象が誰にでもわかりやすく描かれます。しかし先の図1をもう一度見てください。図1には「トイレ」を意味する絵は全く描かれていません。トイレを描かずにトイレを示すという、とても大胆で印象深いデザインです。授業ではこのようなことも、日本文化に関連させながら学びます。

 このようにピクトグラムひとつをとっても、さまざまな歴史や文化という視点で学ぶことが出来ます。受講生は東京都庁や池袋や新宿などのターミナル駅、もしくは観光施設でどのようなピクトグラムがどのように使用されているかを自分で見て調べて、ユニバーサル・デザインに対する理解を深めます。

図3 受講生K.S.さんの作成したピクトグラム暦