4年間の学び

学びのポイント

1年次

大学で求められるのは、自ら調べ自ら考えること。書籍を探し、読んで理解し、自分で考え、意見をまとめ、文章を作成する。この一連の作業について、歴史的テーマを舞台にスキルを磨きます。それとともに、歴史的事象への見方や考え方を身につけ、高校までのような知識の丸暗記とは異なる姿をした歴史学の世界に入門します。

2年次

扱う時代も地域も異なる、さまざまなテーマの講義や演習を受けることで、歴史に関する視野を広げていきます。そうして見聞きした中から、自分が何に興味を持ち何を研究するのか、自らを見つめながら関心を絞り込んでいきます。同時に、古文・漢文や英語の文献を読む訓練をすることで、現代日本とは時空を異にする世界の人々の考え方に触れる力を養います。

3年次

時代・地域別に7種類設けられている演習(ゼミ)の中から、自分の興味関心に応じて複数を選択し、その分野を専門とする教員から研究の手ほどきを直接受けます。ここでいよいよ、自ら調べ自ら考える訓練が本格的に進められるようになります。一方で講義形式の授業も、前年までに比べて一層専門性が高くなり、自分が研究する上でのさまざまなヒントを吸収できます。

4年次

史学科生の大学生活の集大成は、何と言っても卒業論文です。半年から一年を費やし、20000字以上に及ぶ論考を作成します。一つのテーマについて研究し、自らの力で何かを見いだす。それを完成させるためには、読む力・考える力・書く力の全てが高い水準で要求されますので、これをクリアした暁には、必ずや社会のあらゆるポジションで活躍する能力が身についているはずです。

カリキュラム

人材育成目標

日本と世界の歴史と文化に対する理解を深め、その教養を現代社会の諸問題に応用できる人材を育てる。

カリキュラムの特色

歴史学・地理学の知識および方法論を修得できるよう、初年次段階から専門科目を学びます。専門科目は歴史学の新しい方法や視点を取り入れ、幅広い教養と深い学識を修得することができます。多彩な講義や演習を通じて自ら調べ自ら考える力を養い、その総仕上げに卒業論文作成に挑みます。

カリキュラムは2024年度のものです。
掲載内容については変更する場合があります。 *必修科目

カリキュラム

主な開講科目

1年次 【基礎ゼミナール】

大学での「学び」とはどのようなものか、その最も基礎的なスキルを身につけてもらう授業です。歴史学を修めるにあたり、調べものはどう進めるのか、レポートはどう書くのか、自分の考えはどうまとめるのか…。高校との違いを知り、大学での学びを習得する授業です。

1年次 【日本史研究入門(2)】

古墳時代から江戸時代までの文化について、特質やその背景にある政治情勢や社会状況も含めて講義します。時代を超えた文化の大まかな流れを理解するとともに、政治や社会、国際関係の中で各時代の文化の特質を捉えられるようになるのが目標です。

1年次 【芸術と社会の歴史】

現代の音楽生活につながる楽器の発達を社会史的な観点から系統立てて理解します。古代から近代にかけて、ユーラシア、地中海、ヨーロッパと、時代と地域を越え伝播・伝来してきた楽器と社会との関係を再考します。

2年次 【日本女性史(2)】

日本中世を舞台に、女性と宗教・仕事との関わりや、家族の特質と女性の地位などについて学びます。当時の女性の社会的地位が時代とともにどのように変わっていったかを知ることで、日本の伝統社会がどのように形成されていったかを考えてゆきます。

2年次 【文献講読(2)】

日本史や中国史の研究には漢文資料を、西アジア史やヨーロッパ史の研究には英文の資料や論文を利用できるようになることが重要です。この講義ではその準備のため、歴史学に関係する漢文や英文の文献を使って読解力を養います。

2年次 【アジア史概説(1)】

中国の歴史を概観します。ただし、単に事項や用語を覚えてもらうのではなく、歴史の流れと展開を知ることを目的とします。そのために、中国史上の大きな転換点3つを中心に据え、その前後で何がどう変わったのか説明していきます。

3年次 【西洋史演習(1)】

ヨーロッパ中世社会の理解を深めるために、西洋中世史に関する英文テキストや和訳書、様々な視点からの学術的文章を輪読します。テキストの輪読では、各章・各節ごとに担当者を決め、本文の内容を要約をするという個人発表の形で行います。

3年次 【西・南アジア史】

イスラームの美術を通して、西アジアの歴史や社会について学びます。建築・写本・工芸品など、イスラーム社会のもとで産み出されたさまざまな美術作品を見ることで、芸術と社会・時代との関係やその展開について考えるとともに、歴史学の方法論を身につけます。

3年次 【考古学概論(1)】

考古学の目的や研究法について、その基礎的な一通りの知識を身につけます。遺跡や遺物から人類の過去を研究する考古学。そもそも考古学の目的とは何か、社会的にどのような意味があるのか、といった点に始まり、実践的な方法論まで学んでいきます。

4年次 【史資料演習】

4年次の演習では、ゼミ生一人一人の関心に沿い、それぞれ卒業論文の準備につながる研究活動をしていきます。時代・地域ごとに複数のクラスに分かれ、その分野の専門の先生から手ほどきを受けながら、毎年多様なテーマに取りくんでいます。

卒業論文について

研究テーマ

〜土製模造品が用いられた古墳時代の祭祀の性格
-安房の事例から-〜

安房地域から出土している土製模造品(土で器や鏡を象ったもの)が祭祀に用いられた理由について卒論を書きました。遺跡の調査報告書をしらみつぶしに対象の祭祀遺跡か、土製模造品が出土しているかを調べ、土製模造品が出土している遺跡の特徴を整理しました。毎週進捗具合を先生と見直し、論点や煮詰めるべき点などを示してくれました。作業も多く思うように進めず気が折れそうになることもありましたが、最後まで諦めずに書いたことで、資料を整理し理論を展開していく力を身につけることができました。

S.M

2023年3月卒業

研究テーマ

〜土製模造品が用いられた古墳時代の祭祀の性格-安房の事例から-〜

S.M

2023年3月卒業

安房地域から出土している土製模造品(土で器や鏡を象ったもの)が祭祀に用いられた理由について卒論を書きました。遺跡の調査報告書をしらみつぶしに対象の祭祀遺跡か、土製模造品が出土しているかを調べ、土製模造品が出土している遺跡の特徴を整理しました。毎週進捗具合を先生と見直し、論点や煮詰めるべき点などを示してくれました。作業も多く思うように進めず気が折れそうになることもありましたが、最後まで諦めずに書いたことで、資料を整理し理論を展開していく力を身につけることができました。

卒業研究テーマの一例

  • 明治天皇の巡幸による民衆への影響
  • 埴輪配置から見た水鳥形埴輪の性格
  • 中近世ドイツにおける奢侈禁止条例制定の動機
  • 大隈重信と明治十四年政変
  • 『公事方御定書』と「人足寄場」から見る刑罰思想の変遷
  • 17-18世紀イギリスにおける庭園様式の変貌
  • 朝鮮の屠畜における需要の変化と白丁
  • コリャード『懺悔録』から見る庶民層の家族・性愛・堕胎
  • 中世の食文化について―『料理指南』『ヴィアンディエ』『メナジエ・ド・パリ』からの分析
  • 天下触穢における武家の位置づけ