【学外授業】能楽鑑賞

7月下旬のとある水曜日、キスチャック先生の「能楽 イン イングリッシュ」と「言語コミュニケーション特講Ⅳ(ことばとパフォーマンス)」を履修する学生たちが、国立能楽堂で狂言『御冷(おひやし)』と能『芦刈(あしかり)』を鑑賞しました。

通常の授業では、英語を通じて日本の伝統芸能を学んでいる彼女たちにとって、日本の文化を多角的に鑑賞する絶好の機会となりました。

舞台の前で記念撮影(能楽堂の許可は得ています)

演目について少し説明を。

「御冷」とは水の丁寧な表現です。狂言『御冷』では、主が水のことを「御冷」と言ったので太郎冠者(男性の召使)はその上品ぶった言葉づかいを笑い、二人で「水」がいい、「御冷」がいいと古歌を引いて言い争います。

能『芦刈』では、難波の左衛門という男性が貧乏の末、心ならずも妻と離縁します。妻は京に上って高貴な若君の乳母となり、左衛門は刈った芦を売り歩いて暮らすようになります。ある日、久々に難波を訪れた妻と再会した左衛門は、和歌を贈り合うことで互いの気持ちを確かめ、めでたく復縁します。左衛門は装束をあらためて舞を披露します。

キスチャック先生は能楽を長年研究なさっていて、自分でも英語劇の脚本を執筆する舞台芸術の専門家です。先生の(英語の!)解説とともに狂言や能を鑑賞したことは、学生にとって得がたい経験になったことでしょう。

事前に国立能楽堂の方々と感染対策等について打ち合わせ

以下に学生の感想の一部を記します。

◎だいたいの物語の内容を把握してから見に行ったので、能では気持ちや行動をこのように表すのだということが生で感じとれて興味深かったです。

◎踊っている姿はもちろん、はじめの登場の歩く姿から何から何まで繊細で美しく、見惚れてしまいました。一番驚いたのは、大鼓・小鼓を演奏する囃子方の声・音の出し方で場面の切り替わり、盛り上がりが表現されているところです。

◎囃子方の独特の掛け声やリズムがシテ方・ワキ方の舞と息が合っていて、現代の芸術ではなかなか感じられない和の世界に浸ることができました。

◎出演者の歩き方が独特で、頭の位置を変えずに前へ進む姿に驚きました。自分では真似できないと思いました。

(N. Hishida)