授業紹介・1年生の専門科目~日本史研究入門~

 川村学園女子大学の史学科の特徴は、最初に日本史も世界史も幅広く学び、

それから自分が専門とする関心分野を見つけていくことができる点にあります。

まず1年生では、日本史研究入門、アジア史研究入門、西洋史研究入門を履修します。

 

 

今回は、日本史研究入門の授業を紹介しましょう。

(※図像は奈良時代の木簡(もっかん)です。官人たちの落書きですね。)

 

 

 辻浩和先生です。辻先生の専門は日本中世史ですが、

この授業では、弥生時代から平安時代の初めまでを扱い、

古代社会の特徴と、古代から中世への転換を論じます。

 授業では、日本列島における国家の形成と東アジアの関わりを軸に論じますが、

女性や官人・民衆などの具体的な生活に着目することで、

権力が目指した国家の形成が実はうまくいかなかったのだということを示します。

 今年の日本史研究入門では、つぎのようなテーマを扱っています。

・日本史・西洋史・東洋史の時代区分

 ~古代・中世・近世・近代ってなんだろう?

 ~中世のはじまりが人によって違うのはなぜ?

・権力の展開と東アジア

 ~倭国大乱:豪族たちの連合と相互対立

 ~馬と甲冑:先進文明の独占と権力

・国家の形成過程

 ~遣隋使の衝撃:君臣関係を整える

 ~亡国の危機:支配のしくみを整える

・官人の創出

 ~都城の建設:国家のために働く官人をつくる

 ~官人の生活:仕事をさぼる官人たち

・古代人の生活を知る

 ~どうすれば「庶民の日常」に迫れるか

 ~古代の女性:女性と権力、働く女性たち

 ~説話を読む:貧困と障害、恋愛と結婚

・地方支配のしくみと変容

 ~地方支配をになった郡司たち

 ~群盗蜂起:郡司たちの反乱

 ~刀剣乱舞の日本中世

・古代から中世へ

 ~平安遷都と天皇権力

 ~律令国家の崩壊:「人のつながり」の中世へ

 律令国家の形成から崩壊については高校までの日本史でも学習しますが、

この授業ではそれとはかなり違う古代像が描かれます。

教科書と現在の学説のギャップを通して、研究とは何かを考えてもらっています。

(詳しくは授業で!)。