中世フランス歴史紀行(8):エギュイユの礼拝堂

エギュイユAiguiheの礼拝堂(ル・ピュイ・アン・ヴェレィ)

 

ル・ピュイ・アン・ヴェレィはフランス中南部オーヴェルニュ地方の都市です。リヨンからローカル線で2時間ほどかかる場所です。火山活動の痕跡があちこちに残る土地ですが、現在は死火山です。古くから信仰の場でしたが、3世紀になってキリスト教に染められ、司教座教会が建設されました。

 

 

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写真1

 

 

上の写真(1)に見られる小さな礼拝堂は高さ80mほどの溶岩ドームの頂上に建設され、聖ミシェルに奉献されたものです。正確にはエギュイユ(集落名)の礼拝堂と呼ぶのが正しいのですが、隣接するル・ピュイ(都市名)の礼拝堂と呼ばれることが多いようです。ドームをぐるりとめぐる階段を登っていくのですが、もちろん手すりが出来ています。

 

961年にル・ピュイ司教ゴデカル(ゴートカルク)が聖別したとされます。ロマネスク様式の時代ですが、何しろ敷地が特殊ですから、相当に変則的な形になっています。壁は分厚く、細い窓にはステンドグラスが嵌められていました(写真2)。こんなところまで石材を担ぎ上げた人々の苦労はどのように表現すればいいのでしょう。

 

 

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写真2

 

 

ル・ピュイは北フランスのシャルトルとともに早くから聖母信仰が浸透したところとされています。この針(エギュイユ)の聖ミシェルと向き合うような位置にあるコルネイユ岩には高さ16mの巨大な聖母子像が建てられています。