授業紹介、続いては高橋亮介先生の「西南アジア史」です。
今年度のテーマは「キリスト教の成立と発展の歴史」です。なぜキリスト教がアジア史で扱われるのか不思議に思われるかもしれませんが、キリスト教は地中海東岸に住むユダヤ人たちの中から生まれ、そこから広まっていったのですから、最初期のキリスト教の舞台は西アジアだったのです。
キリスト教と聖書については断片的に見聞きする機会も多いですが、この授業では、歴史学の立場から、つまり特定の宗教の見解に偏ることなく、キリスト教の展開を内部と外部(ユダヤ教やローマ帝国)の状況も考えながら説明していきます。
具体的には次のようなテーマを時代の流れに沿って扱います。
キリスト教が生まれてくる母体となったユダヤ教とはどんな宗教なのか、ユダヤ教徒はどういった人々でどのような歴史を歩んできたのか。なぜ、そしてどのようにイエスがキリスト(救世主)だと考えられるようになったのか。聖書にはなぜ様々な福音書(イエスの伝記)や手紙が含まれているのか。この新しい宗教に対しローマ帝国の人々はどのように接したのか、など。
この授業が扱うキリスト教の歴史はさほど長くありませんが、その後のヨーロッパ世界、そして現代文明におけるキリスト教の存在感を考えると、キリスト教成立の背景を西アジア史の歴史の一コマとしてだけでなく、世界史上の重要なトピックとして学んでおくのも良いでしょう。
学生たちのコメントを見ると、以下のようなものがありました。
「史料が多いため、内容が分かりやすく良い。」
「いままでよく分からなかったキリスト教について、ユダヤ教と違いなど分かるようになった。」
「西洋人の考え方のもとにあるものが分かるようになる。」
『新約聖書』などのなかから文書を読んでいきます。