川村英文学会 第21回大会
9月27日に川村英文学会第21回大会が14号館大教室で行われました。特別講演には大東文化大学文学部英米文学科教授の河野芳英氏をお招きし、「さびない、ピーターラビット。」について講演していただきました。東松山市にある「大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館」の設立は河野氏の尽力によるものです。河野氏はノーベル平和賞にノミネートされた日本国憲法第9条「日本国民は…永久に戦争を放棄する」から始め、『ピーターラビットのおはなし』誕生の経緯について解説されました。作品のもとになったのは、ビアトリクスの家庭教師だったアニー・ムーアの息子、小児麻痺になったノエル少年へ宛てた絵手紙でした。1902年にアニーの提案で本にする時には、色刷り、子どもが買える値段、手のひらサイズなど工夫を凝らしたこと、次々に出版されたビアトリクスの『おはなし』はベストセラーになり、彼女が湖水地方に購入した4300エーカーの土地、15の農場や田舎屋を77歳の時にナショナル・トラストに寄付したことなどを明快に話され、「自然を守る」ことと「戦争を放棄する」ことを結びつけて講演を締めくくりました。ウサギとニンジン、キュウリのサンドイッチなど多くのエピソードと映像を駆使した講演に、近在の方々をはじめ私たちは魅了され、『ピーターラビットのおはなし』の世界に浸った1時間でした。
次は3人の卒業生の発表です。日産自動車に就職した島田千明さんには、「ディーラーの仕事と人とのつながり」について話していただきました。車は高価な買物であり、販売から保険、車の点検などお客さまとの長いつきあいになるからこそ、相手に歩み寄る努力と信頼関係を築くことが大切です。ディーラーの仕事はまだ男性が多いのが現状ですが、女性の活躍する場が増えていることも事実であり、共に悩み考え、人とのつながりを大切にして営業の仕事に励んでいます。
円谷友美さんには「笑い飛ばす勇気―転職を経て得たこと―」について話していただきました。円谷さんは2回の転職後、現在はジャパン・ベビーシッターサービスでコーディネーターとして働いています。コーディネーターの仕事で大切なのは、相槌、同意、笑顔であり、相手の話を最後まで聞き分かり易く話すことです。若い母親の厳しい現状に直面することもありますが、多くの人に支えられ助けられて今の自分があり、笑い飛ばす勇気をもって頑張っています。
本校の隣にある聖仁会病院に就職した羽田麻友美さんには、「医療事務の仕事―病院の一日―」について話していただきました。医療事務の仕事は受付、会計、カルテ、入力、点検などがあり、入力は紙カルテの内容を正確に入力する仕事です。毎月1～10日はレセプトの期間で、2千人以上の患者の診療内容のチェックは真夜中までかかることもあります。事務の仕事で喜びを感じることは少ないだけに、患者さんの不安を取り除き喜んでもらえた時は格別です。英語での対応もあり、ナイジェリアの方に問診票の書き方などをご説明して親しくなったこともあります。
3人の卒業生の発表は対人コミュニケーションの大切さを伝えるもので、大学でのコミュニケーションの授業、レシテーションやスピーチコンテストなど人前で自分のことばで話した経験が社会へ出て役立つことを強調していました。
最後に4人の就職内定者に内定獲得のコツについて話していただきました。それぞれが就活の大変さ、内定を得たときの喜び、そして面接では自分らしさ発揮し、明るく誠実に笑顔で話すことを3年生へのアドバイスとして伝えました。
大会終了後は会場を食堂に移して懇親会が行われました。ブランカー先生にはショートスピーチを、キスチャック先生には閉会の挨拶をしていただきました。盛りだくさんでしたが大変充実した一日でした。詳しくは2015年3月発行のニューズレターをお読みください。 (H.Sato)
特別講演「さびない、ピーターラビット。」
卒業生の発表1 「ディーラーの仕事と人とのつながり」
卒業生の発表2 「笑い飛ばす勇気ー転職を経て得たこと」
卒業生の発表3 「医療事務の仕事ー病院の一日ー」
就職内定者による内定獲得のコツを話してもらいました。
懇親会の様子
